おかゆ&カノムジーン
知らないとありつけない味がある[タイ]
タイの町には惣菜屋台や注文屋台の他に、1品で勝負をしている専門屋台もたくさんある。例えば、素麺のような麺を様々な汁と一緒に食べるカノムジーン屋さん、夜になると店を開けるお粥屋さん、鶏飯ごはん、ソムタム(パパイヤサラダ)屋さんなんていうのがそうだ。また、タイ焼きそば(パッタイ)やあんかけ麺(ラートナー)は注文屋台やレストランでも食べることができるが、専門店もある。専門店になると、秘伝のタレを使うのでおいしさが数段増し、行列ができることも。
■ 立ち食いそばのノリ? 「カノムジーン屋」
カノムジーンという素麺のような麺がある。このカノムジーンだけを専門に扱う屋台が町にはたくさんあり、タイ人が昼に夜に夜食にと食べているのをよく見る。日本人がそばやうどんを食べる感覚に似ているかもしれない。
カノムジーンは一見素麺のようだけど、大きな違いは発酵した米の粉で作っているということ。それを練ったり濾したりして生地にし、それを穴が開いた容器に入れ、沸騰したお湯に搾り出して作る。見た目は透き通った素麺だが、食感はずっと柔らかい。
そしてそのカノムジーンにモヤシやハーブ、高菜漬け、バナナのツボミなどをのせ、タレをかけて混ぜ混ぜして食べるが、それを食べさせてくれるのがカノムジーン屋だ。タレは地方によって特色があり、北部だったら豚肉、トマト、血の塊が入った「ナムニャオ」、中部だったら甘い「ナムプリック」や魚のだしがきいた「ナムヤー」、南部だったら魚の内臓が入った激辛「ゲーンタイプラー」などがある。だいたい店には数種類あり、選べるようになっている。また、カノムジーン・ビュッフェの店も多く、いろいろな味を1度で楽しめる。
ちなみにカノムジーンは「麺」だけど、スプーンとフォークで食べる。
■ おかゆのいろいろ
タイ語でおかゆを「カーオトム」と言うが、おかゆには3つ種類がある。1つは注文屋台でも作ってくれるどんぶりに入った1品料理で、スープの中にお肉と薬味が入ったもの(カーオトム・ソーンクルアン)だ。お米はぐつぐつ煮ていないし、味がしっかりしているのでどちらかというと雑炊に似ている。
体調が悪い時に日本人が食べたいと思うおかゆは「ジョック」というもののほうが近い。これはジョック専門屋台があり、朝と夜になると登場してくる。細かい米を煮て作ってあり、生姜とネギ、肉団子が入っていて、好みで卵を落として食べるホッとする味だ。
そしてもう一つ、夕方になると店を開く専門屋台のおかゆ屋がある。こちらのおかゆも日本のものと近い形状だが、「ジョック」と違って味付けはしていない。お店はたいてい食堂形式で、店先に揚げ魚や塩卵、中華ソーセージなどのおかずを並べてある。できあいのお惣菜の他にもニガウリの炒めもの、切干大根の炒めもの、ピリ辛サラダなど、中華とタイ料理が混ざった料理を揃えていて、それをつつきながら、おかゆを2杯3杯とおかわりして食べる(普通の白米もある)。中華料理と同じで、お箸とレンゲで食べる。
つまみ系が多いのでビールで一杯する人もいるし、夜中2時頃まで開いているので、夜遊び帰りにお腹を満たす人も多い。
著者:岡本麻里
タイの屋台事情から、屋台を見分ける極意、注文の仕方まで、タイの屋台めしを味わうための方法やコツが満載。
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