シアトル・スタイル[アメリカ]
スターバックスが成功したのは、単にイタリアンスタイルを踏襲しただけではなく、バニラ、キャラメル、ナッツなどのフレーバーシロップや、ホイップクリーム、チョコレートをコーヒーに組み合わせたメニューを用意したことだ。また、コーヒーを淹れる専門職としてバリスタを育てて地位を与えたこともある。そして、店内に腰を落ち着けて飲むのではなく、持ち歩くというシアトル・スタイルを作り上げた。
カウンターで自分好みにアレンジしたコーヒーを注文し、出来立てを受け取るという、それまでのアメリカのコーヒー文化や、イタリアをはじめとするヨーロッパにもなかったこの新しいスタイルによって、コーヒーが単なる「お茶」からTPOに合わせて選べるドリンク、あるいはデザートとして受け入れられた。これが瞬く間にシアトル中に広まった。
また、もうひとつの要因として、シアトルの気候があった。夏でも日陰では涼しく、雨が降れば気温が下がる。そのため温かい飲み物は欠かせなかったのだ。
現在、シアトルにはスターバックス、タリーズといったチェーン店のほか、それぞれ特色のあるインディペンデント系(独立系)カフェも多くある。こちらは持ち歩きスタイルではなく、店でゆっくりコーヒーを味わうためのセカンドリビング、サードプレイスを提案し成功している。また、朝食やランチ、軽いディナーなどの食事メニューが充実している店や、夕方になるとワインバーに変身する店、音楽ライブやアートイベントを行う店も人気だ。
2005年以降の新しいカフェの傾向として、ラップトップパソコンや携帯端末をカフェに持ち込んで、ビジネスマンやOLは仕事をし、学生はポート作成を行うことが多くなった。そのためインターネット接続のための無線LANやWi-Fi接続が無料で行える店がほとんどになり、入口には「Wi-FI」のステッカーが貼られている。
シアトライツは、それぞれお気に入りのMy Cafeを持っていて、チェーン店とインディペンデント店をTPOで使い分けている。コーヒーとカフェは生活の中で欠かせないものになっている。
〈ダウンタウンエリアのカフェ 3〉
ELLIOTT BAY CAFE
住所:103 S. Main St. Seattle
TEL:206-682-6664
営業時間:月~金 8:00~20:00 (土は9:00~ /日は10:00~)
定休日:なし
https://elliottbaycafe.com
地下にあり、照明も落とされていて若干暗めの店内だが、広くてゆったりとしたテーブル配置になっているので、隠れ家的に落ち着いてコーヒーが飲める。
著者:倉本哲
シアトルのカフェ事情から、Metroの活用やダウンタウンの紹介、シアトルカフェガイドまで、シアトルの街を散歩気分で楽しむための方法やコツが満載。
【Yubisashi Shop】 ワンテーマ指さし会話 シアトル×カフェ