ミニプログラム/進化するWeChat活用
WeChatは「ミニプログラム」で更なる拡大へ
『ビジネス指さし会話帳 中国語』著者の亀田純香です。
中国版LINEと紹介されることも多いWeChatの紹介、第3話です。
→第1話「中国版LINE、WeChatがいろいろとスゴい(WeChatの基本機能)」
驚異的に伸びる「ミニプログラム」
前回は、ビジネスで使われているWeChatの基本機能についてご紹介いたしました。
今回は、進化しつづけているWeChatの便利な機能についてご紹介します。
それが「ミニプログラム」です。
ミニプログラムは、WeChat上で使用するアプリで、簡単にいうと、アプリの中にあるアプリです。
App StoreやGoogle Playなどのストアからのダウンロードやインストールをしなくても、WeChatの中で使える便利で画期的な機能です。
ミニプログラムは、中国語で「小程序(シャオチェンシュ)」と言います。
このミニプログラムのメリットは、毎日使わないけれどあると便利なアプリ、いつ使うか分からないアプリを、時間をかけてダウンロードしなくてもよく、必要なときにすぐに立ち上げて使えることです。
また、ホーム画面にたくさんのアプリが表示されることもないので、スマホの画面もすっきりします。
極端な言い方をすれば、WeChatとミニプログラムで全てのサービスを完結できるということになります。
たくさんのアプリの中から使いたいアプリを探す必要がなくなり、時間の節約にもなりますし、アプリ管理もより簡単になります。
ミニプログラムは、2017年1月に発表され、1年半たちましたが、現在の累計ユーザー数は6億人を突破しています(捜狐網、2018年7月現在)。
代表的なミニプログラムはゲーム「跳一跳」
さて、驚異的にユーザー数を増やしているミニプログラムですが、その知名度が急速にあがったのは、若者を中心に大人気となった「跳一跳」というゲームがきっかけです。
このゲームはとてもシンプルで、画面を押してジャンプ(押す時間で飛ぶ距離を調節する)をして、その回数を競うゲームです。このゲームの累計アクティブユーザー数は約3.8億人を突破しています(覧潮網、2018年4月)。
ゲーム内に広告枠もあり、これも大人気で、広告料は、1日500万元?とも。
サークル型のQRコードがミニプログラムへの入り口
ミニプログラムへのアクセス方法として、よく目にするようになっているのが、サークル型のQRコード。中国の街を、少し歩けばこのQRコードにぶつかります。
コンビニの店内、地下鉄の構内、屋外広告、、、ありとあらゆるところで見かけます。
また、ミニプログラムを検索する方法の中に、近くのミニプログラムを探す機能もあり、これもなかなか面白いです。
今自分がいる場所の近くの店舗などがわかると、そのサービスを利用しようかな、と考えるきっかけになります。
もちろん、チェーン店などを探すときにも便利です。
ミニプログラムが変えていくこと
ミニプログラムの影響で、自然とアプリをインストールする機会が少なっているという実感があります(もちろん、ミニプログラムは万能ではないので、使用頻度などで使い分けする人も多いです)。
それに、企業のPR方法や広告形態も変わってきました。
中国の企業ではここ数年、ホームページを活用する形態から、WeChatのサービスアカウント(服務号)をPRの場として重視する傾向が強くなっていましたが、今ではこのミニプログラムに注目をし、活用する企業が増えています。
これらの形態の急速な変化も中国のもつ勢い、スピードといえます。
ミニプログラムには、企業PRはもとより、集客を強化するべく会員カード、割引券、キャンペーン情報などの機能を入れることができます。
その上EC機能もつけられるので、PRや集客から購入までを完結することができます。
購買心理を上手に活用して購買率を高めることが可能なのです。
店舗での支払いにも活用するケースが誕生
このミニプログラムを活用したモバイル決済を導入しているのが、カルフール初のスマート店Le Marche(ル マルシェ)です。
WeChatを展開するテンセント(Tencent/騰訊)とコラボして、2018年5月、上海にオープン。
ここでは、セルフレジ、顔認証レジ、このミニプログラムのQRコードによるモバイル決済と多様な決済方法が導入されています。
こうした店舗での活用もふくめ、ミニプログラムの活用が主流になっていきそうな勢いを感じます。