「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2

「旅の指さし会話帳・マレーシア」の著者、戸加里康子です。

前回は、マレーシアの総選挙(PRU)での
旗の飾りつけ(すでに飾りの域をかなり超えていますが)
についてレポートしました。
これをマレーシア語でperang bendera(プラン・ブンデラ/旗戦争)
と呼んだりします。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2

旗戦争は、選挙戦が終盤になればなるほど
ますます激しくなっていきますが、
クアラルンプールでは、それとはまた違う旗を立てていた
人たちがいました。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2

彼らはこの活動を前回の総選挙PRU13からやっていて
「アラブの春」ならぬ「マレーシアの春(Malaysian Spring)」と呼んでいます。

ちょうどクアラルンプールに到着した日の夕方に
泊まっているところの近くで活動があるというので、
覗きにいってみました。

SNSで告知されていたロータリーには、時間になると
どこからともなく人が集まってきます。
おしゃべり好きな、普通の(そして若干統率がとれていないw)人たちが
どんどん集まってきて、カジュアルな感じで旗を植えていきます。

ちなみに活動を主催(?)している人によると、
「春」なので「花」を植えているんだそうです。
どうみてもPH色の小旗なんですけどねw。
※PHはPakatan Harapan。今回の選挙で政権交代を実現した4党の連合。前回参照。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2
この日は、植え始めるとすぐに、大雨が降り出したので、
私たちは途中で退散してしまいましたが、
翌日見に行くときれいに植えられていました。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2

しかしこの旗、その日の夜に選挙管理委員会とクアラルンプール市役所の人たちが来て、
全部抜かれてしまったんだそうです。
政党のロゴがついていないから、選挙キャンペーン用だと認められない、
というよくわからない理由でした。

今回PHに対しては、このような理不尽な、というか、
ちょっと幼稚な、というか、な対応がしばしば見られました。

PH候補者の垂れ幕に、PHの首相候補であり、顔でもある
マハティール首相が写っていると、本人の選挙区ではないという理由で
切り取られたり、上からテープを貼られたり
(BNトップのナジブ前首相は、クアラルンプール市内の
オーロラビジョンに映りまくってるのに!)
などなど、あげればきりがないほどです。
※BNはBarisan Nasional(国民戦線)。今回の選挙まで、マレーシアの連邦政府の政権を握ってきた。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2

しかしやられた側も、そのまま黙って引き下がりはしませんでした。
ある日、宿に戻ると、宿のすぐそば(前のロータリーとは別の場所)に、
小旗が立てられているのを見つけました。
小さな旗1枚ずつに、政党のロゴがホッチキス留めされているのが見えるでしょうか。

「マレーシアの春」とは? 総選挙レポート2
旗を抜くという選管と市役所の行動は、完全に逆効果をもたらし、
宿の近く以外にも、クアラルンプールのあちこちに、旗が植えられたようです。
一番最初のロータリーにも、またきれいに旗が植えられていました。

旗の写真を撮っていたら、通りがかりのおじさんに
「きれいだよね」と声をかけられたのが、印象に残っています。


旅の指さし会話帳15マレーシア(マレーシア語)[第2版]

旅の指さし会話帳15マレーシア(マレーシア語)[第2版]

著者:戸加里康子
イラスト:おおのきよみ
サイズ:A5並製

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